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朝、目を覚ますと、ばあちゃんはいつもどおりマーケットストリートと呼ばれる市場へと出かけました。いつもどおりです。問題のない国に到着してから一週間たつとばあちゃんはこの市場に通うようになりました。今では何人かの知り合いもできました。雨が降らないかぎりばあちゃんはこの市場に出向き、オープンエアーのテーブルで朝食を摂ることにしているのです。たいていはおかゆセットを頼みます。そして食事が運ばれてくるあいだ、2,3日前に知り合いになった少年と世間話をするのです。少年の名前はシルといいました。最初に声をかけてきたのはシル少年のほうでした。「ともだちになってください」とシル少年が話しかけ、ばあちゃんが「ああ、ええで」と答えました。それで二人は友達になったのです。
今朝もばあちゃんはシル少年と同じテーブルにつき世間話をしています。 「おばあさんの国はどんな国なんですか?」とシル少年が言いました。 「どんなっちゅうてもわしはようわからんけどな、問題はぎょうさんあるらしいで、わしにはなにが問題かようわからんけどな」 「じゃあ、住みづらい国なんですね」 「。。。もう忘れたわ」とばあちゃんは言いました。 朝食がおわる頃にシル少年が再びばあちゃんにたずねました。 「ところで、おばあさんはバッチをつけてませんね」 「せやな」 「バッチつけていないのが政府に見つかると大変なことになりますよ、この国の決まりなんですから」とシル少年は辺りを見回しながら言いました。誰かにみつかったらたいへんなことになるとわかっていたからです。 「めんどうやなぁ」とばあちゃん。 「でもとにかく決まりですからね、僕もうひとつ持ってますからとりあえずこれつけときましょう」 そう言うとシル少年はポケットからバッチを取出し、ばあちゃんの胸につけました。「いいですか、おばあさん。この国にいるあいだは絶対このバッチをはずしちゃだめですよ、とにかくそれだけは守ってください。それさえ守っていればこんなすばらしい国はありません」 「難儀やなぁ。。」とばあちゃんは言いました。 まわりのテーブルを見渡しても、バッチをつけていない人はだれけもいませんでした。赤ちゃんだってつけています。老夫婦だってつけています。若き恋人だってつけています。ウエイターもつけています。よく見るとペットの犬だってつけています。みんなみんなつけているのでした。ほんとにほんとにみんなみんなつけているのでした。 問題の国に来て6週間が過ぎました。 彼女はばあちゃんを一日中見張ることを止め、朝と晩だけ双眼鏡でアパートをのぞき、ばあちゃんの安否を確認するようになっていました。それ以外の時間は町の観光とダンス教室に通うことに費やすのです。ダンス教室は午後の1時から3時までなので彼女はそれ以外の時間は町の観光にでかけました。 ある時は町で一番高い山にのぼり、ある時は町で唯一の沼まで散歩し、またある時は町の図書館にこもり、ある時は町の産業である電卓工場に見学に出かけました。 電卓工場に出かけたのはある晴れた日のことでした。名前をトメルさんという60才くらいのおじさんが案内をかってでてくれたのです。彼女はトメルさんとダンス教室で出会ったのです。他の国から来たということを彼女が告げるとトメルおじさんは「この国を知るにはまず電卓工場を見学するのが一番よかったでした、私が案内してあげるです」と言ってくれたのです。彼女は遠慮なくその申し出を受けることにしました。この国をもっと知りたいと思う気持ちがだんだん高まってきたのです。 トメルおじさんは電卓工場の責任者だったのです。 工場は海辺にありました。 この国に海があるということを彼女ははじめて知りました。なんとなく海なんてないと思っていたのです。案内された工場の後方にはそれはそれは高いビルがそびえ立っていました。ほとんど岬の突端に立つその建物はまるでこの国のすべてを見渡しているかのように屹立しているのでした。平屋の工場よりもその天につきさすようにそびえ立つ建物ばかりにどうしても目がいってしまう彼女に対してトメルおじさんは「やっぱり気になるですかね、あの建物はこの国で一番高い建物でした。」と説明しました。 「なにをする建物なのですか? 」と彼女。 「政府機関のすべてが入っているです、最上階には大統領がいると言われているです」 「言われているって? はっきりわからないのですか?」 「誰も見たことはなかったですからねぇ、いることはいるらしいですが。。」 「。。選挙で選ばれた大統領じゃないんですか?」と彼女。 「なんですか?せんきょって??」と怪訝そうにトメルおじさんは言いました。 「国民全員で代表を選ぶ制度ですよ、ないんですか?選挙」 話しながらもトメルおじさんはゆっくりと歩きつづけています。 「そんなものは必要なかったでした、この国には」 「どうしてですか?」と彼女。 トメルおじさんは急に歩を止めると、彼女の顔をまっすぐと見つめ言いました。「この国には問題というみものがまったくないからです、さあ工場に着きましたよ」 青年の毎日はどんどん単調なものになっていきました。 朝起きるとコンビニの菓子パンを食べ、会社では不可をださないように仕事を進め、アパートへ帰るとコンビニの弁当を食べ、彼女からのメールが届いていないかチェックし、眠りにつくという毎日です。ときどきお酒も飲みましたがもちろん一人です。このまま世界が沈み始めるのではないかというぼんやりとした不安が日に日に深まっていくようで青年は震えました。夜、ふいに目覚めてももちろん傍らに誰かがいるということもありませんでした。時々、猫がにゃーと答えるだけです。猫が笑っているように見えた夜は余計にさみしく思いました。猫の笑顔を見たら隣人に報告せよ、という彼女が今いる国の憲法の条文が浮かんだからです。青年は少しずつ彼女を見送ったことを後悔するようになりました。 遠くへ去るものは遠くも見られるが遠くへ去るものを見送ったものは遠くしか見えなくなる、そういうものかもしれません。彼女から一回目のメールが来てから、さらに一ヶ月が立っていました。青年はその間に4回ほど彼女にメールを送っていたのです。 数ではない、青年は何度もそう呟きながら眠りにつきます。 紅は学校から帰ると、まっすぐと一郎太じいさんのもとへと帰ります。 クラブ活動もしませんでしたし、友達と寄り道するということもありませんでした。まっすぐと家路に着くのです。もちろん一郎太じいさんの面倒を見るためです。 紅は家に帰るとまず最初に洗濯をします。そして、次に一郎太じいさんをお風呂に入れると休むまもなく夕ご飯の支度にとりかかるのです。一郎太じいさんの体が不自由になってからというもの一日たりとも日課を欠かすことはありませんでした。紅にとってそれはなんでもないことだったからです。紅はじいちゃんが大好きでしたし、家事をすることも好きでした。いつもと同じことをなんでもないように繰り返しながらも日々なにかが変化しているということを紅は知っていました。だから、紅にとって今の日常はとても豊かなものに思えていたのです。 紅は家のことを済ますと、夏ならば庭で焚き火をしながら、冬ならば囲炉裏を囲んで、本を読みます。それはそれは長い物語の本です。もう三年間も同じものを読んでいるのですが、いっこうに終わる気配はありませんでした。図書館に読み終えた本を返す頃になるとまた新しい巻がはいっているのです。すでに百巻ほど読んでいたのですが、いったい物語がどのあたりまで進んでいるのかさえも紅にはわかりませんでした。紅は本を返却するたびにふえていく新刊を横目でみながらいつも同じことをつぶやきます。 「へたな男につかまるよりもタチが悪いわ、この本って」 電卓工場へ入る前に、彼女は白衣と白帽子そして白いマスクを貸与されました。 工場内に入るには必ず身に着けることになっているとのことでした。トメルおじさんは「少し暑いと思うけど規則だったですから我慢するです」と言って、彼女に真新しい白衣類を手渡すと受け付けのところでなにやら係りの者に指示を与えています。 「準備はできたですか?」 「はい」と彼女は答えました。 「じゃあ、入るです」 トメルおじさんに彼女は続きました。 白は学校と家との往復だけの生活を変えたい思っていました。 以前ならば村の生活を不満に思うことなど微塵もなかった白でしたが、いつからか少年は遠くだけを見るようになっていました。学校から帰ると木に登りぼんやりと遠くを見つめるのです。もちろん遠くを見つめてもなにかが変わるわけではありません。いつもと変わらぬ山々が見えるだけです。それでも少年は毎日木に登るのです。 ある日、白少年は一郎太郎じいさんから呼ばれました。じいさんは縁側に座り、いつものように煙草をくわえています。 「なあ白、おまえいくつになったんや?」とじいさんは言いました。 「冬がくれば、16です」 「そうか。。」 白少年は黙ったまま、一郎太じいさんがなにかを言うのを待っていました。 もう秋です。すこしづつ山が色付きはじめています。鳥の鳴き声も山の色もそして風の立ちぐあいも変わりつつあります。 「どうしたいんだ?」とじいさんはいいました。 「どうしていいかわからないんです」と白少年は言いました。「ただ。。。」 「ただなんだ?」と一郎太じいさんは言いました。 十五才の少年、白は十六が迫った初秋、つかみどころのなさを隠そうともせずに言いました。 「なにかが うまくいかないのです」 地の底から響いてくるような、そんな音をたてて電卓工場の扉がひらきました。 それはそれは広い構内なのです。たとえようがありません。彼女の目の前には生産ラインと呼ばれるものが広がっているのですが、そのラインがとにかく果てしなく伸びているのでした。目を凝らして遠くを見やるのですが遠くに行けば行くほどまるで糸みたいにしかラインを捉えることができませんでした。そのライン上で、これまた気の遠くなるほどの人が電卓を組み立てています。いったい何人のひとが従事しているのか検討もつきません。皆が白一色で統一されているので、それはまるで一本の巨大な白線に見えるくらいでした。 彼女の口から漏れた言葉は当然といえば当然のものでした。 「いったい何人のひとが働いているのですか?」 「この工場に入ってからの第一声であなたの放った質問以外の言葉を私はきいたことがありません。」とトメルおじさんは言いました。「たいていのひと、いや全員といっても過言ではなかったですが、まずそう尋ねるですな、もっともそうききたくなるのもわからないではないのですが、しかし考えてもみてくださいお嬢さん、我が国では国民一人ひとりに電卓を支給することになっているのですからこれくらいの規模の工場がないと政府の責任ってものがもてなくなってしまうですよ、この工場では一日に十万台の電卓が生産されているです、ひとり十個の電卓をつくるとしても何人の人がはたらいているかわかるですな。」 「一万人ですか。。」と彼女はおそるおそる答えました。 「ちょっと待ってください。。」とトメルおじさんは言うとポケットから電卓を取出すとなにやら計算をはじめました。「ああ そうでした、お嬢さんのいうとおり一万人でしたね、ほらこのとおり電卓にもそうでているです」 満足そうな顔でトメルおじさんは電卓を彼女の顔の前に差し出してにこにこしています。 目の前の光景でさえも奇異な印象をうけたのですが、電卓をあやつるおじさんにも彼女はそれ以上に奇異な感じを受けました。だから、今一番疑問に思ったことをトメルおじさんに、いや、この電卓工場の責任者に聞いてみようと思いました。 「どうしてこの国では国民みんなに電卓を支給するんですか?」と。 きょとんとした顔で電卓工場の責任者は反対に聞き返しました。 「どうしてって、、、お嬢さん、あなたは電卓がなくても生きていられるんですか?」 「。。。は?」と彼女。 「不思議なお嬢さんですなぁ。。」 「どうしてですか?」 「だってお嬢さん、、人生の中でひとが一番することと言ったら、数えることですよ」 そう、電卓工場の責任者は言うのでした。 「かぞえることですか。。。」 「そうです」と電卓工場の責任者はきっぱりと言いました。「あなたまさか、1+1がなにになるか電卓なしに答えられるっていうんじゃないでしょうね」 こころから驚いているようなのでした。 「2 じゃないんですか?」と彼女。 すかさず電卓工場の責任者は聞き返しました。 「理由は?」と。
by plusmoon
| 2009-08-13 22:33
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